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ブルノ訪問記

今回、ヒメツリガネゴケを中心としたコケ植物の国際ミーティングであるMoss2005ブルノで開かれることになり、ミーティングでの発表を兼ねてブルノを訪問した。Mossミーティングはここ数年は毎年開催されている。昨年度はドイツのフライブルグ、その前年はアメリカのセントルイスであり、イギリス・アンブレサイドでのMoss2002を挟んで、2001年には岡崎市の基礎生物学研究所でも開催されたことがある。国際会議ではあるが、参加者が100数十名であり、規模としてはメンデル博物館に併設されている会議場であるメンデルセンターが丁度よい規模である。勿論、今後この会が発展的に大きくなっていくことも必要であろうが、今のところはあまり大きすぎず、親しみやすい良いコミュニティが形成されている。ブルノはぜひ一度訪れてみたいと考えていた都市であり、昨年度のMoss2004で今年度の会議がブルノに決まったときから楽しみにしていた。また、International Botanical Congress(IBC)が100年ぶりにウィーンで開かれることもあり、開催日時はIBC直後ということになった。私も、IBCに出席後にブルノに移動した。さて、実際にウィーンからブルノまでの移動は国際列車(InterCity)で2時間であり、これはプラハよりも近いということを今回初めて知った。メンデルもウィーン大学に留学していた時期があるが、それもこの近さであればなるほどと納得できる。ちなみにブルノはチェコ第2の都市であるが、その人口は37万人で、私のいる熊本市(67万人)よりやや小さいくらいの街である。

ウィーンからブルノへはIBC最終日の23日に移動し、夕方からMoss2005のレジストレーションがあった。その後、皆でメンデルガーデンのガイドツアーに行き、メンデルが使用していたというミツバチの小屋などを見せてもらった(写真1写真2)。このガイドツアーは、オプションであり事前の予約が必要である。時期の問題もあるのかもしれないが、整備している途中という雰囲気であり、ガーデンとしての完成にはもう少し時間がかかりそうである。一通りの説明の後、メンデル博物館のガイドの方から、よく聞かれる質問の答(いわゆるFrequently Asked Questions)を教えて貰った。一つは、メンデルは自分の材料の豆を食べたのか、ということ。正確にはわからないが、たぶん食べていただろう、という答えであった。もう一つは、メンデルの実験が非常に1対3に近いのは、実は捏造ではないかという疑惑。この疑念は昔からあり、言われてみると確かに近すぎるような気もする。これも今となってはもうわからないのであるが、しかし、メンデルの性格を考えると、数値の改変はなかったと確信している、という話であった。ガーデンツアーの後は、すぐ隣の教会に行って、簡単なコンサート。きれいな教会であった。メンデルセンターに戻って、その日は、生バンドの演奏を聴きながらのレセプション・ディナー。ホテルに帰ったのは、結局10時過ぎであった。

写真 1 メンデル博物館の学芸員の説明を聞く参加者

写真 2 メンデルガーデン

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