伊豆田研究室
助教授: 伊豆田 俊二
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「先生、DNA複製って、ただDNAのコピーを作るだけでしょう?それがなぜミステリアスなの?」

「例えば紫外線を浴び過ぎたりすると皮膚がんなどになりやすいよね。これは紫外線で出来たDNA上の傷をそのままにしてDNA複製が行われると、その傷が元で突然変異が起こるからなんだ。だけどそう簡単にはがんにならない。それは私達の細胞には複製を一旦ストップしてせっせと傷を修復するメカニズムが有るからなんだ。傷をなおし終わってからまた複製が行われる。これだと突然変異は起こらない。これを複製チェックポイントと言うんだ。」

「へぇ〜、私達の細胞って賢いんだ。」

「だけど複製チェックポイントの詳しいメカニズムについてはほとんど分かっていないんだ。私達の研究室ではこのメカニズムについて研究しているんだよ。右の図は我々の研究室で見つけた複製制御に関わる可能性の有る遺伝子を破壊した酵母の写真だけど、野生株と比較して核の形、この白く光っているところだけど、何かおかしいでしょう。」

「ほんとだ。野生株では丸いのに、破壊株ではミミズがのたうちまわっているみたい。」

「もしこんなことが私達の細胞で起こればがんなどの病気になるだろうな。」

「先生、恐ーい!」

「でもDNA複製は抗癌剤のターゲットでもあるんだよ。DNA複製を強制的にストップしてやればがん細胞は死滅する。私達の研究室ではDNA複製に働く酵素の阻害剤についても基礎的な研究をしているんだ。」

「なるほど!DNA複製って、おもしろい!」