平成13年度生物科学科関連カリキュラム


*以下の授業科目を表にまとめたものはこちら。

必修科目

生物科学基礎実験 (1年次、全教官)
実際の動植物の取扱を通じて、生物の多様性、生物個体の体制を理解するとともに、生物科学の各分野における様々な研究法を学んでいく上で、最も基礎となる手法を修得する。


生物科学実験I-IV (2年次、全教官)
1年次開講の生物科学実験Iを基に、3年までの実験さらに卒業研究にも不可欠な実験テクニック・考え方・データ解析等をマスターする。

生体機能学実験A、B及び生体調節学実験A、B (3年次、全教官)
2年生までの講義及び生物科学実験I-IVをもとに、更に高度な生物科学実験の知識と技術について習得することを目指す。


≪選択科目≫

生命科学へのアプローチ (1年次、全教官)
生命科学が明かにしたこと、現在、生命科学は何を解明しようとしているのか、また、生命科学は何をめざしているのか、など現代生命科学について生命科学の各分野の専門家が概説する。と同時に、生命の不思議、生命科学の魅力について語る。

情報処理 (1年次、高野博嘉)
コンピューターを用いて情報の読み書きを行う際のきまりと基本操作を理解する。まず、Windowsの操作を習得し、ワープロや表計算などのソフトウェアの利用法を学ぶ。次に、電子メールによる手紙のやりとりを習得し、インターネットの利用法を学び、最後にホームページを作成する。。

植物形態学 (1年次、小野莞爾)
植物の体制についての基礎を学ぶことを目的とする。まず、植物細胞の構造と機能や細胞分裂について述べ、続いて細胞分化によって構築される組織や器官について、主として形態学的・組織学的見地から講義する。また、植物がさまざまな生育環境に適応するために、どのように組織や器官を構築して対応しているのかを念頭に置きながら講義したい。

基礎遺伝学 (1年次、塩田正樹)
遺伝子の理解は現代生命科学の大きな礎になっている。逆に生物科学の中で一番に理解して欲しいものの一つが遺伝子である。本授業では遺伝子の発見からその実体の解明にいたる遺伝学の基礎を学ぶ。

基礎生化学 (1年次、伊豆田俊二)
生化学とは生命活動における基礎的現象を分子レベルで理解する学問である。生命活動を担う基本的な分子には酵素などのタンパク質、生体膜の主要成分である脂質、エネルギー源である糖質、遺伝の本体である核酸などがある。本講義ではそれらの構造や性質に関する基本的知識を学ぶとともに、実際の研究方法について解説する。

細胞生物学 (1年次、高野博嘉)
細胞について知る。


動物形態学 (2年次、武富葉子)
脊椎動物の基本的組織の構造的特徴、機能について理解し、それぞれの組織の発生学的起源について理解する。また、多くの専門用語に慣れることも目的の一つである。

分子細胞生物学A (2年次、滝尾 進)
細胞の構造と営みを遺伝子やタンパク質などの分子レベルで理解する。細菌、酵母、動物、植物などの例を中心に、細胞機構の共通性と生物による特殊性についても解説し、生物の進化を分子レベルで考える。

植物生理学 (2年次、高野博嘉)
植物生理学の基本を学ぶ。植物体の中で起きている現象を理解する。植物に親しむ。

分子遺伝学I (2年次、高宗和史)
遺伝子の実体であるDNAの構造にはどの様な特徴があるのか、どの様にして遺伝子として機能を発揮するのかについて理解する。また、遺伝子に刻み込まれた暗号をもとに、どのような調節機構によって生体活性物質であるタンパク質を作り出すのかについて理解する。これらの理解のもとに、遺伝子操作がどのようにして行われ利用されているのか知る。

神経生理学 (2年次、佐藤栄治)
神経細胞(ニューロン)の興奮やその伝導のしくみを講義する。また、細胞内記録法で記録された静止電位と活動電位について講議し、活動電位の発生が「ナトリウム説」によることを理解する。

筋肉生理学 (2年次、佐藤栄治)
筋肉の分類および筋肉収縮のしくみを、発生学的・形態学的・生理学的・生化学的研究成果から理解する。特に、骨格筋で提唱されている「滑り説」を詳しく理解する。

発生生物学I (2年次、鈴木明郎)
主として、脊椎動物の卵形成、受精、卵割、原腸胚形成、形態形成についてウニ、カエル、ショウジョウバエ、ニワトリ、ネズミを例として、その過程での出来事を比較講義する。更に、各過程での内容を細胞分化、個体発生との関係で学習する。

臨海実習I (2年次、山口隆男)
海産動物に対する基本的なことを学び理解を深める。日本は海洋国であり、世界的にみて海産動物が豊富である。海にしか産しない動物門もある。そうしたものについて分類、発生、生態についての基礎的なことを知ることはきわめて重要である。


分子細胞生物学B (3年次、塩田正樹)
生命の起源と生物の進化に関する最近の知見を紹介し、これらの課題について検討する。

分子遺伝学II (3年次、安部眞一)
真核細胞に特有の問題、即ち発生、分化、免疫、神経統御などの分子生物学は1970年代の遺伝子操作の開発によって飛躍的に発展した。まず真核細胞の遺伝子構造と転写制御について勉強した後、筋細胞分化の分子制御について学ぶ。遺伝子の機能解析の方法としてトランスジェニックマウスやノックアウトマウスについても学ぶ。また、ショウジョウバエの形態形成機構についての発生遺伝学、生殖細胞の特質や分化についても学習する。

生体情報学 (3年次、高宗和史)
細胞の増殖と分化は、多くの場合増殖因子やホルモンなどの外部刺激により誘導される。この講義では、これら因子により刺激を受けた細胞の中で、そのシグナルがどのように伝達され、新たな遺伝子の発現につながるのかについて解説する。

発生生物学II (3年次、鈴木明郎)
動物の初期個体発生における細胞分化、組織分化、体軸形成のメカニズムについて、主として両生類胚での研究から得られた成果を中心に講義する。

生化学 (3年次、伊豆田俊二)
「基礎生化学」では代表的生体内高分子化合物としてタンパク質、脂質、糖質について構造と生理機能を解説している。本講義では、もう一つの重要な化合物である核酸類についてヌクレオチドレベルからDNAレベルに到るまで、生体内動態を中心に解説する

植物代謝生理学I (3年次、吉玉國二郎)
生物は実に多様な代謝経路を持つ。本講では代謝の中でも植物の光合成で生成された炭水化物(糖質)由来の代謝経路に焦点を当て、その経路をたどってみたい。また、それらの代謝経路に関与する様々な酵素の触媒機構や諸性質、及びその制御機構についても解説したい。さらに、糖代謝経路由来の芳香族アミノ酸生合成経路についても解説する。

植物代謝生理学II (3年次、吉玉國二郎)
植物代謝生理学 I ではほとんどの植物に共通の主要な一次代謝経路について講義するが、本講では植物において実に多様である二次代謝経路に焦点を合わせ、その経路の説明、生成される代謝産物のさまざまな生理活性について解説したい。二次代謝産物は現在、抗酸化作用やその遺伝子発現制御機構、情報伝達物質としての作用が注目されている物質である。

免疫学 (3年次、安部眞一)
医学的には生体防御、生物学的には自他の個体識別、である免疫系の特質を講議する。抗体の構造と機能、抗体産生に関する指令説とクローン選択説、リンパ組織の機能、細胞性免疫と体液性免疫、T細胞とB細胞の役割、移植免疫と組織適合性抗原、抗体やT細胞受容体の多様性の起源と遺伝子組換え、などについて学習する。

内分泌学 (3年次、武富葉子)
ホルモンとよばれる化学物質が特定の情報を担う信号分子であるという考え方が定着してきている。各種ホルモンの情報系がどのように成り立っているか理解する。

遺伝学 (3年次、滝尾 進)
遺伝子は、表現形質の発現と遺伝形質の伝達という重要な二つの働きを持つ。真核生物では、大部分の遺伝子は細胞核の染色体に存在する。この授業の目的は、さまざまな遺伝現象を主に染色体の構造と機能の観点から理解することにある。

細胞組織培養学 (3年次、小野莞爾)
植物細胞は、受精卵に限らず、ほとんどの体細胞が個体を形成する能力、すなわち分化全能性を持っている。本講義では、植物培養細胞の分化全能性に関連するさまざまな現象について、形態学的、生化学的および分子生物学的側面から解説する。

生物学輪講 (3年次、全教官)
英語で書かれた生物科学分野の文献もしくは本を読み、科学英語になれ、内容を理解する能力を身につけることにより、情報収集能力の向上を図る。


生体機能学セミナーA,B、生体調節学セミナーA,B (4年次、各担当教官)
卒業研究課題に関連した各種原著論文の内容の紹介発表などを通じて、卒業研究の内容を深めると同時に口頭発表の技術を体得する。