吉玉国二郎 (教授)
連絡先
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E-Mail: tama@aster.sci.kumamoto-u.ac.jp


自己紹介
 民謡「刈りぼし切り歌」や夜神楽で有名な九州、宮崎県の高千穂町で誕生。熊本大学ー東京教育大学(現在の筑波大学)ー信州大学を経て、再び熊本大学に舞いもどる。趣味はスポーツ、魚釣、登山などだが、今はその暇がない。自然は研究すればするほど、益々神秘的、かつ魅力的であると実感しているこのごろであ    る。これからも、花色の美しさのメカニズムや、多様な植物成分について研究して行きたい。


研究内容

(1)花色及び果色の色調発現機構について(原著論文1、2、3を参照)
花の色や果実の色は実に多様です。これらの色調の多くは、フラボノイド系色素に属するアントシアニンによって発現されています。アントシアニンにも様々なタイプがあります。そこで、この研究では植物に含まれているアントシアニンの構造決定と、色素が存在する液胞中での色調発現機構及び色調変化に及ぼす生理的要因についての研究を行っています。これまでの研究の結果、スイゼンジナやツルビロウドサンシチに含まれるアントシアニンの構造が明らかになりました。また、ノブドウやノシランの青紫色果色の色調発現機構が解明されました。

(2)アントシアニンの生合成についての研究(原著論文4、5を参照)
花や果実の色調の素になっているアントシアニンの生合成についてはまだそ
の多くが未解決のままです。本研究では、現在その生合成に関与している数種の酵素(例えば、糖転移酵素やアシル基転移酵素)に焦点を当て、酵素の純化やその諸性質について調べています。また、アントシアニンは秋の紅葉の主色素でもあります。この紅葉現象のメカニズムについてもまだほとんどわかっていません。紅葉現象にともなうアントシアニンの生合成についても現在研究中です。この分野での研究成果として、最近サイネリアの花弁から糖転移酵素を純化しその諸性質を明らかにしました。また、紅葉現象にともなう物質の変化についても現在研究中です。

(3)植物の種分化に伴うフラボノイドパターンの変化についての研究(原著論文6、7、8を参照)
藻類を除くほとんどの植物に含まれている二次代謝産物の一つにフラボノイド化合物(アントシニンもこのグループの一種)があります。このテーマでは、これらの化合物が種の分化に伴いどのようなパターンの変化を生じているのかについて、エンレイソウ属植物及びスミレ属植物に焦点を当てて研究を進めています。これまでの研究の結果、日本に生育している5種3雑種のエンレイソウ属植物に於いては、含有フラボノイドパターンに種ごとの特徴がみられること、及び同種であってもそのパターンに地理的変異が見られることなどが明らかになりました。


原著論文

1. Effect of anthocyanin, flavonol co-pigmentation and pH on the color of the berries of Ampelopsis brevipedunculata. J. Plant Physiol. Vol.139, pp.513-518, 1992.

2. Isolation of a new flavonol glycoside and its effects on the blue color of seed coats of Ophiopogon jaburan. J. Plant Res. Vol. 106, pp.223-227, 1993.

3. A stable reddish purple anthocyanin in the leaf of Gynura aurantiaca cv. " Purple Passion". J. Plant Res. Vol. 107, pp.209-214. 1994.

4. Further purification and some properties of flavonoid 3-O-glycosyltransferase from seedlings of Vigna mungo, and changes in those enzyme activities in the first simple leaves and the stems during growth of the seedlings . Mem. of Fac. of Gen. Edu. Kumamoto Univ. No. 32, pp.9-20, 1997.

5. Characterization of a UDP-glucose: cyanidin 3-O-glucosyltransferase from the buds of Senecio cruentus. Cryogenics Rep. of Kumamoto Univ. Vol.8, pp.11-20. 1997.

6. The flavonoid chemistry of the genus Trillium I. Flavonol glycosides in the leaves of Trillium tschonoskii Maxim. Bot. Mag. Tokyo, Vol.105, pp. 555-563, 1993.

7. Flavonoids in the leaves of Trillium undulatum Willdenow. J. Plant Res. Vol.110 pp. 379-381, 1997.

8. Flavonol glycosides in the leaves of Trillium apetalon Makino and T. kamtschaticum Pallas. J. Plant Res. Vol. 110, pp.443-448, 1997.

    
 



研究室構成員プロフィール

飯村 健(大学院DC 2年)
「フラボノイドを指標としたスミレ属植物の化学分類学的研究」というテーマで研究開始。 
趣味は長距離ドライブ、魚・虫・植物・“他”の採集。朝が来ると眠くなる?

緒方 潤(大学院DC 2年)
「植物色素アントシアニンの配糖体化酵素について」研究中。
特にありません。

金丸 裕二(大学院MC 2年)
「エンレイソウ属植物に含まれるステロイドサポニンの構造解析とその分布パターンについて」研究中。
宮崎出身です。趣味は野球観戦です。

山口 久美(大学院MC 2年)
「ルリミノキ・琉球ルリミノキの青色果皮の色調発現について」研究中。
植物を育てるのが趣味です。

富永 武士(大学院MC 1年)
 「オオバナエンレイソウの花粉に含まれるフラボノール配糖体の構造解析及びその生理作用」というテーマで研究中。
パチンコ屋で見かけてもそっとしておいてください・・・。

小池 晃(大学院MC 1年)
「ナスのアントシアニンの配糖体化酵素の単離及び精製」について研究中。
よく食べ、よく寝て、いっぱい遊ぶ!!(ちゃんと研究しております)

濱田 眞海(大学院MC 1年)
「植物エストロゲンが動物の生殖機能に及ぼす影響について」研究中。
JA菊池 家畜診療センターに所属する勤務獣医師で、社会人学生です。「仕事と大学、そして家庭」現在奮闘中!

張 炳謙(研究生)
中国の天津から来ました。趣味はピンポンとバレーボールをすることです。

川崎 修一郎(4年生)
「植物に含まれるフラボノイド色素の構造解析と生理治性」

坂田 尚美(4年生)
「植物色素アントシアニンの安定化機構及び色調変化について」

佐藤 浩(4年生)
「植物色素アントシアニン生合成におけるマロニルトランスフェラーゼの精製と諸性質」