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第3回日本RNA学会 (2001年8月、神戸市 神戸大学)
 
分裂酵母Schizosaccharomyces pombeにおける新規mRNA核外輸送変異株の単離と解析
 
○井手上賢1、久保田真理1、柳田充弘2、大島靖美1、谷時雄3
(1九大院・理・生物科学 2京大院・生命科学 3熊本大・理・生物科学)
 
 遺伝子の転写によりmRNAが合成される場である核と、転写されたmRNAを鋳型にタンパク質が合成される場である細胞質が核膜により区画化されている真核生物においては、mRNAの核から細胞質への輸送は、遺伝子発現の必須過程である。近年、核と細胞質間におけるタンパク質の輸送機構に関しては多くの知見が蓄積されてきたが、mRNAの核外への輸送機構については未だに不明な部分が多い。当研究室ではこれまでにin situ hybridizationを用いたスクリーニングによって分裂酵母におけるmRNA核外輸送温度感受性変異株(ptr : poly(A)+ RNA transport)を9株単離し、それらの原因遺伝子のクローニングと解析を進めてきた。
 今回290株からなるtsバンクを新たにスクリーニングし、制限温度下で核にmRNAを蓄積する4株のptr候補株を得た。興味深いことに、これらの株のうちの3株はmRNAが核内に蓄積する表現型に加え、核が分裂し切らないうちに細胞質分裂を起こすcut (cell untimely torn)と呼ばれる表現型も示した。ptr変異株のうちptr4cut1+遺伝子に変異を持つ。そこで既に分離されているcut 変異株についてin situ hybridizationを行ない、制限温度下でのmRNA輸送阻害について解析した。その結果、cut2, cut4, cut6, cut7, cut8, cut9, cut14, cut15, nuc2, top2についても制限温度下でmRNAの核への蓄積が観察された。これらの変異株の原因遺伝子がコードする蛋白質のうち、Cut1pとCut2pは複合体を形成することが知られている。一方、Cut4p, Cut9p, Nuc2pは20S APC/cyclosome の構成成分でありCut8pとともに、Cut2pの分解に関与している。これらの知見をもとにcut表現型とmRNAの核外輸送阻害の関連性について考察するとともに、新規に分離したptr変異株の解析状況について報告したい。