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第55回日本細胞生物学会 (2002年5月、横浜市)
 

pre-mRNAスプライシングとmRNA核外輸送をリンクするsnRNPS1とその相互作用因子 Prp3pの解析
 

谷 時雄、黄 信、前田 明、David Frendewey

 
 ヒトRNPS1は、二つの3'スプライス部位を有するmRNA前駆体において、遠位3'スプ ライス部位の選択的活性化を指標にHeLa細胞核抽出液より生化学的手法により分離された新規タンパク質因子である(Mayeda et al. 1999)。最近、RNPS1はexon-exon junctionの5'側部位に結合するポストスプライシング複合体の構成因子であること、またUpf複合体との相互作用を介してnonsense-mediated decay (NMD)に関与していることが示された(Lykke-Andersen et al., 2001)。また、mRNAの核から細胞質への輸送過程への関与も指摘されている。
 我々は、RNPS1の機能をより詳細に解析することを目的として、分裂酵母においてヒトRNPS1と34.8%のアミノ酸配列の相同性を示す遺伝子(spRNPS1)の解析を行った。 spRNPS1はヒトRNPS1と同様に核に局在し、分裂酵母の生育には必須でないことが示さ れた。また、HA標識spRNPS1がスプライソソームに存在するsnRNAと免疫共沈したこと から、この因子はスプライソソームと相互作用していることが示唆された。興味深いことに、spRNPS1の欠失変異とスプライシング変異prp3-2の二重変異株は合成致死効果を示した。さらに、prp3-2変異は、制限温度下でpre-mRNAスプライシングの欠損だけでなく、mRNAの核外輸送にも阻害を示した。ΔspRNPS1 prp3-2二重変異はmRNA核外輸送阻害を増悪し、26℃においても核膜周辺にmRNAを蓄積した。prp3+遺伝子がコー ドするタンパク質は、一箇所にRNA認識モチーフ(RRM)を持ち、スプライソソームに結合するCwf2pと同一であった。加えて、免疫共沈解析からPrp3pが必須核外輸送因子 Yra1pと相互作用することが示された。以上の結果は、spRNPSとPrp3pは機能的関連性をもち、pre-mRNAスプライシングとmRNA核外輸送をリンクする機構に関与している可 能性を示唆している。