2001日本RNA学会要旨:



遺伝子の転写不活化によるmRNA核外輸送阻害
○渋谷利治1、石浜陽2、多田隈尚史2、船津高志2、谷時雄3(1九大院・理・生物科
学、2早大・理工、物理、3熊大・理・生物科学)

Inhibition of nucleocytoplasmic transport of mRNA by transcriptional
inactivation of the gene
○Toshiharu Shibuya1, Yo Ishihama2, Hisashi Tadakuma2, Takashi
Funatsu2 and Tokio Tani3 (1Dep. Biol., Grad. sch. Sci., Kyushu Univ., 2Dep.
Physics, Sch. Sci. and Engineering, Waseda Univ., 3Dep. Bio. Sci., Fac.
Sci., Kumamoto Univ.)



(要旨)
   遺伝子の転写の場 (核)と、タンパク質への翻訳の場 (細胞質)が核膜によって隔てられている真核生物においては、mRNA及びタンパク質の核と細胞質間の移行は、遺伝子発現においてきわめて重要な一段階となっている。我々は、 mRNA核外輸送機構の解明を目的として、HeLa細胞及びXenopus A6細胞の核へ蛍光標識mRNAをMicroinjectionし、それらの核外輸送過程を生細胞中で解析することを行った。
  蛍光標識mRNAは注入後数時間後には細胞質側へと移行した。一方、(1) 4℃での保温、(2) WGAとのco-injection、(3) Azide処理を行った場合、mRNAは細胞質へ輸送されないことが示された。以上の結果は、核に注入された蛍光標識mRNAが核膜孔を介した能動的輸送によって細胞質へ移行されたことを示唆している。さらに、この解析系を用いることにより、キャップ構造、及びpolyA配列が、mRNA核外輸送を促進しうることが示された。
  また、HeLa細胞を、転写阻害剤(Actinomycin D、及びa-amanitin)で処理することにより、注入した蛍光標識mRNAの核外輸送が阻害されることが示された。興味深いことに、Actinomycin Dで処理すると、核内に蓄積したmRNAは、スペックルと呼ばれるSC35などのsplicing因子が含まれる領域のすぐ隣に、強く蓄積することが判明した。これらの結果は、mRNAの核外輸送と遺伝子の転写機構との間に密接な関連性がある可能性を示唆している。

前にもどる