熊本大学大学院理学研究科地学専攻(修士課程)

入試問題(平成 4年 9月24日)


専門

次の問い[1]〜[9]の中より,任意の四問を解答せよ.また,各問い毎に一枚の解答用紙を使用すること.

[1]
地球の年齢は約46億年と考えられている
1)
上記の年代は何を根拠としているか。根拠をあげよ。
2)
1)にあげた根拠の妥当性、問題点を述べよ。

 

[2]
35億年間の生物の歴史の中で、画期的な出来事が4つ(5つという場合もある)ある。「生物の誕生」はその第一 だが、その他にはどんな事柄があるか。2つの例をあげて、いつごろ(地質年代とか地質時代)で、進化史上どのような意義があるか説明しなさい。

 

[3]
Fusulinids を例として Carboniferous - Permian の biostratigraphy , 特に range zone, concurrent range zone について説明せよ。

 

[4]
Ophiolite には過去の海洋プレートがオブダクションしたと考えられるものがある(例えばキプロス島のophiolite)。それらは ophiolite の層序(succession)をよく保持している。
1)
ophiolite とはどのようなものか。
2)
ophiolite の succession を記し、現在の海洋プレートとの対比を述べよ。
3)
過去のサブダクション帯にみられる ophiolite とオブダクション帯にみられる ophiolite の違いを、succession、分布形態、周囲の地層・岩石との関係、周囲の地層・岩石の種類や変成作用について述べよ。
4)
アルバイトの融点はアノーサイトの融点より低い.このことを知ってディオプサイド−アルバイト系の1気圧における状態図を,ディオプサイド−アノーサイト系の状態図との違いがわかるように描きなさい.

 

[5]
プレート運動の原動力について大きく2つの考えがある。1つはプレートはマントル対流にのって動くという考え(受動的プレート対流論)であり、もう一つはプレートそのものに原動力を求める考え(能動的プレート対流論)である。能動的プレート対流論に基づきプレートの原動力について論ぜよ。特に海嶺、海溝、プレート底面に起因する力について説明し、原動力について定性的に論ぜよ

 

[6]
第四紀の古環境を復元する上で微化石の果たしている役割について2つの具体的な例をあげて説明せよ。

 

[7]
AX2 の化学組成を持ち、面心立方格子の結晶構造をとる結晶がある。その結晶の1分子式量は125.63amuで、その密度は2.44g/cm3 である。また、この結晶の1単位胞中に含まれる化学式数(Z)は4である。下記の各問いに答えよ。
1)
この立方格子の格子定数を求めよ。
2)
結晶格子面221の格子面間隔(d,Å)を求めよ。
3)
A原子の座標は(0 0 0,1/2 0 1/2,1/2 1/2 0,0 1/2 1/2)、X原子の座標は(1/4 1/4 1/4, 3/4 1/4 1/4, 1/4 3/4 1/4, 1/4 1/4 3/4, 1/4 3/4 3/4, 3/4 1/4 3/4, 3/4 3/4 1/4, 3/4 3/4 3/4)である。配位するA原子とX原子との原子間距離Å)を求めよ。

 

[8]
下図は MgAl24 (Sp)−Mg2SiO4(Fo)−KAlSi26(Lc)系の状態図である。これについて以下の問に答えよ。
1)
このような系を何というか。また点eを何というか。
2)
Fo−Lcの状態図を描け。
3)
1500℃の等温断面図の概略を描け。
4)
液Xの結晶作用を論ぜよ。
5)
液Xが完全平衡を保ちながら結晶作用するとき、液、Fo、Sp、Lc それぞれの相の量が温度とともにどのように変化するだろうか。その求め方の方法を簡単に説明し、結果をグラフに図示せよ(グラフ用紙を使用すること)

 

[9]
下図はポーフィリー・カッパーにおける鉱石の生成環境を推定するために用いられた図である。次の6つの条件全てを満たす領域を図中に示せ(解答は、この紙に直接行うこと)。
1)
磁硫鉄鉱(Poと略す)と赤鉄鉱(Hem)は存在しないが、黄鉄鉱(Py)は多量に存在する。
2)
斑銅鉱(Bn)、黄銅鉱(Cp)と黄鉄鉱(Py)は鉱石の鉱物組合せとしてよくみられる。
3)
pHはカリ長石(Kf)の安定領域に近い白雲母(絹雲母、Musc)の安定領域中にある。
4)
石墨(Graphite)は存在しない。
5)
重晶石(Barite)と硬石膏(Anhydrite)は微量あるいは多量に存在する。
6)
方解石(Calcite)は鉱石中の小脈にみられる。


語学

次の問いI,II,IIIを解答せよ.また,各問い毎に一枚の解答用紙を使用すること.

I.
次の英文を和訳せよ.
Whether from the land or the ocean floor, the fossil fuels have the advantage of being highly concentrated sources of energy that are more accessible than other kinds of energy. Oil is in particular demand, because it is a liquid rather than a solid or gas and thus is more easily transported and handled, making it ideal for small mobile uses such as automobiles, tractors, and small ships. Coal is more suitable for large stationary uses such as municipal and industrial electric generating plants. All these uses, however, have reached the point at which the carbon dioxide and perhaps the heat itself, after long storage in fossil form, are released so rapidly as to observably increase the temperature of the earth's atmosphere. The effect of carbon dioxide is probably more important than the direct heat production, because it appears to form a blanket in the atmosphere that permits transit of sunlight but blocks the heat into which the sunlight is convertedーgreenhouse effect.

 

II.
次の英文を和訳せよ.
Whether from the land or the ocean floor, the fossil fuels have the advantage of being highly concentrated sources of energy that are more accessible than other kinds of energy. Oil is in particular demand, because it is a liquid rather than a solid or gas and thus is more easily transported and handled, making it ideal for small mobile uses such as automobiles, tractors, and small ships. Coal is more suitable for large stationary uses such as municipal and industrial electric generating plants. All these uses, however, have reached the point at which the carbon dioxide and perhaps the heat itself, after long storage in fossil form, are released so rapidly as to observably increase the temperature of the earth's atmosphere. The effect of carbon dioxide is probably more important than the direct heat production, because it appears to form a blanket in the atmosphere that permits transit of sunlight but blocks the heat into which the sunlight is convertedーgreenhouse effect.

 

III.
次の和文を英訳せよ.
1)
石油と天然ガスは、一般に生物起源と考えられている。
2)
地質学的、地球物理的、地球化学的研究により、島弧の火山岩に海洋性堆積物が混入している可能性が指摘されている。