談話会の記録

熊本大学数学談話会

会場:大学院自然科学研究科棟数理演習室301

この談話会は プロジェクトゼミナールと一環しています.

2013年度

日時:平成26年1月8日(水)
時間:午後4時30分〜 5時30分
講演者:村瀬 篤氏(京都産業大学)
題目:保型形式と対称性: Borcherds 積をめぐって

アブストラクト:Borcherds 積は、無限積表示を持つ極めて特異な多変数保型形式であり、数論幾何、無限
次元Lie 環論などに幅広い応用を持つ。この講演では、O(2, n+2) 上の正則な多変数保型形式のうち、
Borcherds 積として表されるものが、ある対称性(積対称性)により特徴づけられる ことを示す。ひとつの応
用として、モジュラー多項式の新しい特徴付けを与える。B. Heim 氏 との共同研究である。


日時:12月18日(水)
時間:午後4時30分〜 5時30分
講演者:吉田 正章氏(九州大学)
題目:4次元の7面体

アブストラクト:実射影平面の一般の位置に在る五本の直線は唯一つの五角形を囲むように、四次元射影
空間の七枚の超平面は唯一つの七面体を囲む。これがどんな形をしているか、境界の三次元球 面を敷き
詰める七つの多面体の配置を説明する。Francois Apery とBernard Morin との共同 研究。


日時:12月11日(水)
時間:午後4時30分〜 5時30分
講演者:千葉 逸人氏(九州大学)
題目:重み付き射影空間におけるPainleve方程式

アブストラクト: Painleve 方程式は,動く特異点は極のみである,という性質を持つ2 階の常微分方程式
である.ここではPainleve 方程式を,C3 をコンパクト化して得られる,ある重み付き射影空 間上のベクト
ル場として与える.C3 の自然な座標からみて無限遠に相当するところに,いく つかのベクトル場の不動
点が現れるが,その近傍の力学系的性質がPainleve 方程式の解の漸近 挙動を決定する.重み付き射
影空間の幾何と力学系をうまく用いて,従来よりもずっと簡単な Painleve 性の証明や初期値空間の構成
法を与える.


日時:10月23日(水)
時間:午後4時30分〜
講演者:片山 聡一郎 氏 (和歌山大学)
題目:2次元空間における半線形波動方程式系のエネルギー減衰

アブストラクト:2次元空間における半線形波動方程式系の初期値
問題を考える. null 条件よりも弱い条件の下での(小さな初期値に
対する) 大域解の存在定理を与える. またその条件を少し強めると,
非線形項消散構造を持ち, エネルギーが減衰することを示す. 上記
の結果は大阪大学の松村昭孝氏と砂川秀明氏との共同研究に基
づくものである.


日時:5月29日(水)
時間:午後4時30分〜午後5時30分
講演者:Daniel Allcock 氏(University of Texas in Austin)
題目:Steinberg groups and Kac-Moody groups

アブストラクト: Kac-Moody groups are like possibly-infinite-dimensional Lie groups, defined over arbitrary rings.
A famous example occurring (conjecturally) in physics is E10 over the integers, a ”discrete subgroup” of the
infinite-dimensional real Lie group E10. This Lie group appears in the sequence E6, E7, E8, E9, E10, ... whose first
few terms are famous as exceptional simple Lie groups. We will review developments in this area, including our
own recent work, some joint with Lisa Carbone. For example, many of these groups are finitely presented,
including E10 over any finitely generated ring. Some results are new even in the classical case of a finite-dimensional
Lie group.


日時:4月24日(水)
時間:午後4時20分〜午後5時50分 (いつもと開始時間,講演時間が異なります)
講演者:二木 昭人 氏(東京大学)
題目:K-安定性とケーラー・アインシュタイン多様体

アブストラクト: ケーラー・アインシュタイン計量の存在と K 安定性の同値性に関する Chen- Donaldson-Sun,Tian の証明の概略を解説する.