| 氏 名 | 安部 眞一(ABE Shin-ichi) |
| 職 名 | 教授 |
| 研 究 紹 介 | |
| 研究テーマ | |
| ・ | 両生類精原細胞の増殖と減数分裂開始機構 | ・ | 両生類精原細胞のアポトーシス誘起機構 | ・ | ヒラメの性転換機構 |
| 研究内容 | |
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両生類精原細胞の増殖と減数分裂開始機構 精子分化過程は、精原細胞が体細胞分裂を一定回数行ったのち減数分裂を開始して第一精母細胞に分化し、２回の減数分裂を完了し、複雑な形態形成過程を経て精子に分化する一連の過程から成ります。精原細胞の増殖と減数分裂の開始の機構は、まだ明らかになっていない重要な問題の一つです。この問題にはホルモンやセルトリ細胞いう体細胞が重要な役割を果たしています。我々は、イモリ精巣の器官培養系、及び再構成培養系を確立し、FSH(follicle-stimulating hormone:濾胞刺激ホルモン)の処理によって、精原細胞の増殖を促進し、第一精母細胞への分化を起こさせることに成功しました。この培養系を用いてセルトリ細胞から分泌される増殖因子の同定を行っており、IGF (insulin-like growth factor) とSCF (stem cell factor) が関与していることを明らかにしています。 イモリ精原細胞は７回目の分裂を完了すると第８世代で減数分裂に入りますが、基本培地での培養では第７世代まで進行しますが、最後の分裂を完了できずにアポトーシスを起こします。このことから、第７世代に減数分裂開始のチェックポイントがあると考えられます。FSHの作用によりセルトリ細胞から減数分裂開始因子が分泌されることにより７回目の分裂を完了して減数分裂に入るものと考えられます。 | ・ |
両生類精原細胞のアポトーシス誘起機構 ヒツジプロラクチンをイモリ腹腔に注射すると、第７世代の精原細胞がアポトーシスを起こすことを見出しました。これはプロラクチンの新しい作用の発見です。イモリを低温で飼育すると精原細胞が死にますが、これは血中のプロラクチン濃度が 上昇することによるものであることを証明しました。さらに、精巣の器官培養において、プロラクチンがイモリ精巣に直接作用して精原細胞のアポトーシスを引き起こすことと、プロラクチンとFSHの作用は拮抗的であることを示しました。この現象は、秋に精子形成が完了するとその後の精母細胞形成を停止させるという生理的意義があると思われます。 このアポトーシスにはcaspase 3とcathepsinが関与することを示しました。 |
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魚類の性分化および性転換機構 ヒラメの性は基本的にＸＸ(♀)とＸＹ(♂)によって決定されます。しかしながら、性分化時期の温度や性ホルモン処理により容易に性転換を誘導することができます。したがって、ヒラメは、性分化及び性転換機構を調べる上で、大変有効な実験動物です。性分化における性ホルモンの役割を明らかにするため、ヒラメからアロマターゼ(アンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素)、11β-水酸化酵素(魚類特異的アンドロゲンである11-ケトテストステロンの合成に関与する酵素)の遺伝子を単離し、温度コントロールにより誘導した雌雄の生殖腺におけるこれら遺伝子の発現を調べました。その結果、アロマターゼ遺伝子の発現は、性分化開始以降、雌では急激に増加しましたが、雄では減少しました。一方、11β-水酸化酵素遺伝子の発現は、雄においてのみ、性分化後に増加しました。さらに、性分化時期の遺伝的雌にアロマターゼ阻害剤または抗エストロゲン剤を投与することで生理的雄へと性転換したことから、雌への性分化にはエストロゲンが不可欠で、雄への性分化にはエストロゲン合成の抑制が重要であると考えられました。現在、アロマターゼ遺伝子の発現制御機構の解析及び雄への分化誘導因子の探索を行うと同時に、メダカを用いた機能解析システムの開発にも着手したところです。 |
| 研 究 業 績 | |
| 研究論文 | |
| 1) | Yazawa, T., Yamamoto, T., Jin, Y. and Abe, S.-I., "Follicle-Stimulating Hormone is Indispensable for the Last Spermatogonial Mitosis Preceding Meiosis Initiation in Newts (Cynops pyrrhogaster)", Biol. Reprod., 66, pp.14-20 (2002) | 2) | Okamura, H., Sakaguchi, M., Yokogawa, K., Tokunaga, E., Abe, S.-I., Tokiyoshi, S. and Mizuno, K., "Lack of contact transmission of recombinant Marek`s disease virus type 1 expressing the fusion protein of Newcastle disease virus", Vaccine, 20/3-4, pp.483-489 (2001) | 3) | Suzuki, A.S., Tadano, Y., Yamamoto, T., Abe, S.-I. and Tajima, T., "Expression of a novel matrix metaloproteinase gene during Cynops early embryogenesis", Biochim. Biophys. Res. Comm., 288, pp.380-384 (2001) | 4) | Yamamoto, T., Nakayama, Y. and Abe S.-I., "Mammalian Follicle-Stimulating Hormone (FSH) and Insulin-Like Growth Factor (IGF-I) Up-regulate IGF-I Gene Expression in Organ Culture of Newt Testis; Molecular cloning and gene expression of newt IGF-I and IGF-I receptor", Mol. Repr. Dev., 60, pp.56-64 (2001) | 5) | Kitano, T., Takamune, K., Nagahama, Y. and Abe, S.-I., "Role of P450 aromatase in gonadal sex differentiation in Japanese flounder (Paralichthys olivaceus)", Environ. Sci., 8, pp.001-011 (2001) | 6) | Yamamoto, T., Matsuda, Y., Hikino, T., Nakayama, Y. and Abe, S.-I., "Cloning of Dynein Intermediate Chain cDNA of the Newt Cynops pyrrhogaster", DNA Research, 8, pp.81-84 (2001) | 7) | Yazawa, T., Yamamoto, T., Nakayama, Y., Ito, R. and Abe, S.-I., "Cold Suppression of Follicle-Stimulating Hormone (FSH)-Activity on Newt Testes", Gen. Comp. Endocrinol.,122, pp.296-303 (2001) | 8) | Yazawa, T., Fujimoto, K., Yamamoto, T. and Abe, S.-I., "Caspase Activity in Newt Spermatogonial Apoptosis Induced by Prolactin and Cycloheximide", Mol. Repr. Dev., 59, pp.209-214 (2001) |
| 講演発表(国際会議および国内学会) | |
| 1) | Kitano,T., Takamune, K., Nagahama,Y. and Abe, S.-I., "Gonadal sex differentiation in Japanese flounder(Paralicthys olivaceus)", 日本水産学会, 横浜 (2001.4.) | 2) | Abe, S.-I., Yamamoto, T. and Nakayama, Y., "Initiation of meiosis in organ culture of newt testes by IGF-1", 14th International Congress of Comparative Endocrinology, Sorrento, Italy (2001.5.) | 3) | Kitano,T., Takamune, K., Nagahama,Y. and Abe, S.-I., "Role of estrogen in gonadal sex differentiation in Japanese flounder (Paralicthys olivaceus)", 14th International Congress of Comparative Endocrinology, Sorrento, Italy (2001.5.) | 4) | Yan Jin, Yamamoto, T., Ikema, Y., Iemura, S., Ueno,N. and Abe, S.-I., "Induction of apoptosis by BMP2/4 in the 7th generation of newt spermatogonia: Possible relationship between prolactin and BMP", 国際発生生物学会, 京都 (2001.7.) | 5) | Fujimoto,K., Yazawa,T., Yamamoto, T. and Abe, S.-I., "Involvment of caspase-like proteases in spermatogonial apoptosis induced by prolactin in japanese red-bellied newt, Cynops Pyrrhogaster", 国際発生生物学会, 京都 (2001.7.) | 6) | 古柳貴史，山口紗貴子，安部眞一，北野健, "ヒラメのビテロジェニン遺伝子の発現制御機構について"，日本動物学会, 福岡 (2001.10.) | 7) | 安部眞一，安部恵祐，Yan Jin，山本卓, "ヒトStem Cell Factor(SCF)によるイモリ第二精原細胞の増殖促進"， 日本動物学会, 福岡 (2001.10.) | 8) | 古川怜，山本卓，池間泰子，中山由紀，安部眞一, "イモリ精子形成過程におけるStem Cell Factor(SCF)およびc-kit受容体遺伝子の 発現"，日本動物学会, 福岡 (2001.10.) | 9) | Kitano T,Takamune K, Nagahama Y. and Abe, S.-I., "Gonadal Sex Differentiation in Japanese Flounder (Paralichthys olivaceus)", 70th Anniversary of the Japanese Society of Fisheries Science (in International Commemorative Symposium), Yokohama (2001.10.) | 10) | Abe, S.-I., Yazawa, T. and Yamamoto, T., "Human Bone Morphogenetic Protein 2/4 Induces Apoptosis in the Penultimate Stage of Spermatogonia in Newt; Checkpoint Hypothesis for Entry into Meiosis", International Symposium, Kyoto (2001.11.) | 11) | 古柳貴史，山口紗貴子，安部眞一，北野健, "ヒラメのビテロジェニン遺伝子の発現制御機構について", 環境ホルモン学会, つくば (2001.12.) | 12) | 今里栄男，吉永憲史，安部眞一，北野健, "ヒラメの性分化に及ぼすノニルフェノール，ビスフェノールＡの影響"， 環境ホルモン学会, つくば (2001.12.) |
| 学会並びに社会での活動 | |
| 学会での活動 | |
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日本アンドロロジー学会評議員（1987.10.〜現在） 日本動物学会将来計画委員（1999.4.〜2001.3.） | |
| 科学研究費等外部資金の取得状況 | |
| 科学研究費補助金 | |
| 基盤(C)(2)、平成12年〜13年度、140万円、精原細胞における減数分裂開始とアポトーシスとの分化選択機構、代表 | |
| 研究助成金 |
科学技術振興調整費総合研究「生殖系列細胞を用いた稀少動物種の維持・増殖法の開発に関する基盤研究」, 平成13年度, 942万円 日本学術振興会、平成12〜14年度、450万円、中国に棲息する魚に対する内分泌攪乱物質の影響調査、代表 |
| その他特色のある教育・研究活動 | |
| 共同研究活動 | 上海市計画生育科学研究所（中国）「中国に棲息する魚に対する内分泌攪乱物質の影響調査」 |
| 大学・学部・学科の管理運営に関する分担 | |
| 大学 | |
| 評議員、大学教育委員、自己評価委員、大学評価体制等検討ワーキンググループ委員、大学評価連絡調整会議委員 | |
| 大学院 | |
| 自己点検評価委員長、学務委員長、施設委員長学務委員 | |