阿部 健

熊本大学大学院
先端科学研究部
准教授
教育研究分野:代数学

専門分野:代数幾何学
研究テーマ:代数的ベクトル束,モジュライ空間

楕円や放物線や双曲線などはみな「多項式=0」というように多項式の零点の集合として表せます. この様に「多項式=0」と表せる図形を代数多様体と呼び,これを研究するのが代数幾何学です. 研究するといっても代数多様体はそれこそ無数にありますから,どれを調べようかと迷うところですが, まずは「小さい」もの,すなわち次元の小さいものから調べていこうというのは自然な発想でしょう. 1次元の代数多様体である代数曲線は種数と呼ばれる不変量を用いて調べることができます. 2次元の代数多様体である代数曲面を調べようとするともっと沢山の不変量が必要になりますが, 百年前のイタリア学派による研究及びそれを整理発展させた小平邦彦による研究により, 代数曲面の構造もよく分かるようになった,といって良いでしょう. そして3次元は極小モデル理論...と話は続いていくのですが, この様に「小さい」ものを順に調べていくというのとは別に, 大きいかもしれないけれど出自が分かっている図形を調べる,という姿勢もあります. 「出自が分かっている」とは,モジュライ空間を念頭に言ってみた表現です. 然るべき幾何学的対象全体の集合を考えると,その集合自身が自然に代数多様体になることがあり, これを(その幾何学的対象の)モジュライ空間と呼びます. モジュライ空間の各点は一つの幾何学的対象に対応しており,つまりモジュライ空間とは その幾何学的対象のパラメータ空間なのですが,この様な意味づけをあらかじめ持っていることにより, モジュライ空間は次元は大きいかもしれないけれど調べやすく興味深い研究対象となります. 私は代数多様体上の代数的層のモジュライ空間に興味を持って研究しています.


研究成果

1. 非特異な代数曲線が結節点を持つ特異曲線に退化する際の代数的層のモジュライ空間の退化の様子について調べた.

2. 然るべき代数的層のモジュライ空間の対を考えると,それらのモジュライ空間上に自然に定まる直線束の 大域切断の空間が互いに双対になる,というStrange dualityと呼ばれる現象がある. これについて研究した(現在も継続中).

論文リスト