[様々な 4 次元空間内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面]

まず, 次元が 3 以上の擬Riemann空間型内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面上には曲面の第二基本形式を用いて正則 4 次微分を統一的に定義できる.
3 次元Riemann空間型内の極小曲面上では, Hopf微分とそれ自身のテンソル積によって与えられる.
4 次元Riemann空間型内の極小曲面上の正則 4 次微分が恒等的に零であることと, 極小曲面が等方的である, つまり各点での主曲率が単位法ベクトルの選び方に依らないことは同値である. E^4 内の等方的な極小曲面は E 4 =C 2 内の複素曲線と合同である. S^4 内の等方的な極小曲面は S^4 に付随するツイスター空間の観点で特徴づけられる (Bryant).
4 次元Lorentz空間型内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面上の正則 4 次微分が恒等的に零であること, ある光的法ベクトル場が恒等的に一定方向を向いていること, および曲面の内在的曲率が空間の一定断面曲率に恒等的に等しいことは同値である. 特に, 空間がde Sitter空間 S^4_1である場合, 平均曲率ベクトルが零である空間的曲面は共形Gauss写像を通して S^3 内のWillmore曲面とほとんど同一視され (Bryant), Willmore曲面上で定義される正則 4 次微分はその非臍点からなる集合上で共形Gauss写像を通して対応する平均曲率ベクトルが零である空間的曲面上の正則 4 次微分と定数倍を除いて一致する. 正則 4 次微分が恒等的に零であることと曲面が E^3 内の極小曲面の立体射影による逆像によって与えられることは同値である (Bryant).
また, H^3 内の曲面の共形Gauss写像を定義することができ, この共形Gauss写像を通して H^3 内のWillmore曲面は S^4_1 内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面とほとんど同一視される. S^3 内のWillmore曲面上で定義される正則 4 次微分を参考にして H^3 内のWillmore曲面上で正則 4 次微分を定義することができ, そしてこの正則 4 次微分はWillmore曲面の非臍点からなる集合上で共形Gauss写像を通して対応する平均曲率ベクトルが零である空間的曲面上の正則 4 次微分と定数倍を除いて一致する.
また, S^3_1 および H^3_1 内の空間的曲面の共形Gauss写像を定義することができ, これらの共形Gauss写像を通して S^3_1 および H^3_1 内のWillmore曲面は H^4_1 内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面とほとんど同一視される. S^3 および H^3 内のWillmore曲面上で定義される正則 4 次微分を参考にして S^3_1 および H^3_1 内のWillmore曲面上で正則 4 次微分を定義することができ, そしてこれらはWillmore曲面の非臍点からなる集合上で共形Gauss写像を通して対応する平均曲率ベクトルが零である空間的曲面上の正則 4 次微分と定数倍を除いて一致する.
また, E^4_1 内の未来を向いている光的ベクトルの全体がなす錐 L^+ 内の空間的曲面の共形Gauss写像を定義することができ, この共形Gauss写像を通して L^+ 内のWillmore曲面ではないがWillmore曲面に対するEuler-Lagrange方程式とはやや異なる方程式を満たす空間的曲面は E^4_1 内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面とほとんど同一視される. 以上に現れた 3 次元空間型内のWillmore曲面上の正則 4 次微分の類似物と考えられる正則 4 次微分を L^+ 内の上述のような曲面上で定義することができ, そしてこれは曲面の非臍点からなる集合上で共形Gauss写像を通して対応する平均曲率ベクトルが零である空間的曲面上の正則 4 次微分と定数倍を除いて一致する.

4 次元Riemann空間型内の極小曲面で内在的曲率が空間の一定断面曲率より小さいものについて, 上述の正則 4 次微分が恒等的に零である, または零にはならないものを, 誘導計量および主曲率の絶対値が最大である単位法ベクトル場に関する主分布の観点で特徴づけることができる.
4 次元Lorentz空間型内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面について, 上述の正則 4 次微分が零にはならないものを, 誘導計量および光的法ベクトル場に関する主分布の観点で特徴づけることができる.

E 4 =C 2 内の複素曲線は誘導計量およびその上のある正則 3 次微分の観点で特徴づけることができる. この特徴づけに関連して, E 4 =C 2 内の複素曲線は局所的にアファインSchwarz写像と空間の平行移動の合成による像と表される. 球面Schwarz写像がはめこみであるとき, その第一基本形式および第二基本形式はある正値関数を用いて表される. またそのように第一基本形式および第二基本形式が表される S^3 内の曲面は局所的に球面Schwarz写像による像と表される.

実 4 次元Kahler多様体内の複素曲線は等方的な極小曲面であり, 実 4 次元超Kahler多様体内の等方的な極小曲面は空間の三つの複素構造 I、J、K =IJ の 1 次結合と表されるある複素構造に関する複素曲線である.