平成3年度
熊本大学理学部
地学教室年報

No. 2  1992  

前年度地球科学科ホームページ次年度


はじめに

 昨年度に引き続き、地学教室年報第2号平成3年度版(平成3年4月〜平成4年 3月)をお届けします。今回は2章構成とし、第1章に教室構成員(教官、事務職 員、学生)の内訳をいれ、第2章に教官、大学院生、特別研究員の活動状況をまと めました。全国的な大学の自己評価、自己点検の要請に応えて、本年は理学部の業 績集が出版され、また自然科学研究科でも別に業績集が出版されることになってい ます。これらと内容的に重複するところはありますが、熊本大学地学教室の現状と 活動状況を多面的、総合的に一覧できるものとして、本小冊子はそれなりの存続意 義はあるものと考えます。いよいよ平成5年度からは、教室は5講座体制となり、 学科名も、これまでの「地学科」から「地球科学科」と改称され、教室内容は一段 と拡充されてゆく計画です。それに伴って教室のアクティビティーがさらに向上し てゆくことを願っています。

地学教室主任 小畑正明


======= 目次 =======

第1章 教室構成

  1. 教官・職員
  2. 在学生数
  3. 卒業生進路

第2章 活動状況

  1. 教官
  2. 大学院生・特別研究員


第1章 教室構成

I. 地球科学科教官・職員

講座

氏名

専門分野

岩石学・鉱物学

教授

小畑正明

岩石学

講師

小屋口剛博

火山学

地質学・古生物学

教授

岩崎泰頴

古生物学

助教授

尾田太良

微古生物学

鉱床学

教授

津末昭生

鉱床学

助教授

尾崎正陽

鉱物学

助手

横瀬久芳

地球化学・岩石学

物理地学

教授

村田正文

層位学

助教授

中田正夫

地球物理学

講師

豊原富士夫

構造地質学

*平成3年10月東京大学地震研究所に転出
 平成4年6月16日清水 洋氏(地球化学)岩石学・鉱物学講座助教授に着任

 
事務官  :田村弘美
事務補佐員:横山美奈子

II. 在学生数(平成4年2月現在)

学部生:

1年

2年

3年

4年

30名

28名

23名

23名

104名
理学研究科(修士課程):

修士1年

修士2年

9名

5名

14名
自然科学研究科(博士課程):

博士1年

博士2年

博士3年

3名

5名

2名

10名

III. 卒業および修了後の進路

学部卒業生(20名)
進学(6名)、研究生(2名)、教員(3名)、企業(6名)、その他(3名)
修士課程修了者(5名)
進学(1名)、企業(4名)
博士課程修了者(1名)
学振特別研究員(1名)


第2章 活動状況

記載項目
  1. 研究テーマ
  2. 学会誌発表
    1. 原著論文
    2. 総説、著書
  3. 学会講演発表〔複数著者の場合は講演者にアンダーライン)
  4. 受賞
  5. 研究助成
  6. 所属学会
  7. 学外委嘱委員
  8. 海外からの訪問者,研究員
  9. 海外出張
  10. その他のニュース

I. 教官

岩崎泰頴

1.研究テーマ
  1. 浅海棲貝化石群集の種構成の時代による変遷:
     堆積盆(当時の環境)を復元し,そこに棲息した貝化石群集を明らかにする.現在までに下部白亜系の貝類群(領石動物群とも呼ばれる)と,中部白亜系の御所浦・御船型の貝類動物群についてはほぼ終っているが,最近我が国でも実用化され堆積場を再現するのに有効とされている堆積相解析により詰めを行っている.古第三系に関しても着手している. 
  2. 内湾に棲息する介形虫の研究:
     有明海・八代海の最奥の汀線付近に棲息する介形虫は中国沿岸ならびに琉球・奄美諸島のヒルギ帯に棲息する介形虫と共通する種ないし属構成が判明しつつある.この様な介形虫種群について棲息環境を特定して棲み分け状況を明らかにし,化石における環境指標種としての有効性を明らかにする.
2.学会誌発表
a.原著論文:
  • 岩崎泰頴 (1992) 熊本平野地下における有明粘土層中の介形虫の群集変化. 熊本大学理学部紀要(地学) 第13巻第2号,1-12.
3.学会講演発表
  • 岩崎泰頴:介形虫Spinileberis pulchraの棲息場所.日本古生物学会第140回例会(千葉県中央博物館)1991年6月 
6.所属学会
  • 日本古生物学会,日本地質学会,ベントス研究会,The Paleontological Society

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

尾崎正陽

1.研究テーマ
  1. ホウ素,フッ素,塩素を含有するアルミノ珪酸塩鉱物の鉱物化学:
     ホウ素,フッ素,塩素などの揮発性成分を含む鉱化流体と珪酸塩鉱物あるいは岩石との反応により生成されたこれら3成分を主成分として含有するアルミノ珪酸塩鉱物(axinite,tourmaline,scapolite,その他)の鉱物学的諸性質と産状の検討,ならびに合成実験によるこれら各鉱物の生成条件,生成環境と鉱物学的諸性質の関係についての検討と考察を行っている. 
  2. 熱水の作用による岩石 鉱物の累進変質反応の実験的反応速度論的研究:
     岩石・鉱物の変質の一因である熱水変質作用は,既存の岩石・鉱物とこれに接 する熱水との反応である.変質作用により生成される鉱物は,母材である岩石・ 鉱物の性質とこれに作用する熱水の物理化学的条件・性質(温度,圧力,pH, Eh, 溶存化学成分など)によって特徴づけられる.しかし,これらの変質生成鉱物の 種類と性質は反応の進行に伴って累進的に変化する.各種の熱水と岩石・鉱物と の反応実験を行い,これら岩石・鉱物との累進反応について反応速度論的検討と 考察を行っている. 
3. 学会講演発表
  • 尾崎正陽・長谷川勝彦:Jarosite group の固溶体系とその鉱物学的性質(II). 三鉱学会秋期連合学会(仙台)1991年9月
  • 尾崎正陽・吉井守正:大分県湯布院町の塚原白土鉱床でみられる珪化変質作用.同上、1991年9月
  • 小林太郎・尾崎正陽:粘土鉱物からの mulite,cristobalite 生成とアルカリ・アルカリ土類金属の添加効果.日本地質学会西日本支部例会(鹿児島)1992年2月 
  • 赤峰経一郎・尾崎正陽:房総半島中東部の岩芯試料にみられる続成作用.同上1992年2月
5.研究助成
  • 総合研究(A)尾崎正陽(分担者):スカルン型鉱床の生成機構の解明 (代表者 東京大学 島崎英彦)
6.所属学会
日本鉱物学会,日本岩石鉱物鉱床学会,日本粘土学会,日本資源地質学会,日本地球化学会,日本窯業協会
7.学外委嘱委員
  • 金属鉱業事業団;九州中部地域広域地質構造調査検討員

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

尾田太良

1.研究テーマ
セジメント・トラップに基づく北西太平洋海域におけるプランクトンの群集解析:
 生物起源炭酸カルシウム粒子の浮遊性有孔虫の基礎生産の質,量,季節的関係を明らかにし,海洋環境要因との関係を把握し,北西太平洋海域の古海洋学の基礎データを確立する.
2.学会誌発表
  • 斉藤実篤・酒井豊三郎・尾田太良・長谷川四郎・田中裕一郎 (1991) 房総半島南部 の三浦層序群—陸化した現世前孤域— 月刊地球,第13号,15-19.
  • 秋元和実・内田英一・尾田太良 (1991) 三浦半島南部の中〜後期中新世三崎層産底生有孔虫による古環境復元 月刊地球,第13号,24-30.
  • 尾田太良 (1991) 佐渡島周辺海域における浮遊性有孔虫群集「西南日本周辺大陸棚の海底地質に関する研究」地質調査所,133-135.
  • 尾田太良・佐藤由理 (1991) 宮崎地域の地質及び生層序「九州の後期新生代古環境解析」研究成果報告書,37-42.
  • Oda, M and Akimoto, K.(1992) Paleogeography and paleoceanography during the middle Miocene in the Fossa-Magna and Kanto regions, central Japan. Centenary of Japanese Micropaleontology. (K.Ishizaki and T.Saito, Eds.), Terra Scientific Pub. Comp.Tokyo,43-50.
3.学会講演発表
  • 豊原富士夫・松崎達二・村田正文・尾田太良:九州東部四万十—瀬戸川帯における中新世の衝上断層. 日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
  • 尾田太良:浮遊性有孔虫から見た黒潮域における最終氷期以降の海洋変動第四紀学会討論会(高知)1991年8月
5.研究助成
  • 一般研究(C)尾田太良(代表者):九州西方海域における過去2万年間の海洋環境の変動
  • 総合研究(A)尾田太良(分担者):セジメント・トラップに基づく北太平洋における物質循環に関する研究(代表者 金沢大学 大場忠道)
  • 総合研究(A)尾田太良(分担者):東北日本のグリンタフ火成作用とテクトニクス(代表者 秋田大学 大口健志)
6.所属学会
日本地質学会,日本古生物学会,石油技術協会,America Geophygical Union

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

小畑正明

1.研究テーマ
  1. 上部マントルでのマグマの発生と移動:
     上部マントルを構成している超塩基性岩の構成と化学組成を調べることによりマントル物質の部分溶融によりマグマが発生し,上昇する過程を解明する.現在,北海道日高変成帯に産する幌満カンラン岩体をフィールドにしている.
  2. 下部地殻の溶融と酸性マグマの起源:
     高温型変成帯高温部には,部分溶融によって生じたと思われる不均質な岩石“ミグマタイト”が特徴的に産する.これらの変成岩〜火成岩の構造と組成 を調べることにより大陸地殻下部で不遍的に実現している部分溶融の過程を 解明する.熊本県肥後変成帯をフィールドにしている.
2.学会誌発表
  • Frey, F. A., Shimizu, N., Leinbach, A., Obata, M. and Takazawa, E. (1991) Compositional variations within the lower Layered zone of the Horoman peridotite, Hokkaido, Japan: Constraints on models for melt-solid segregation. J. Petrol., Special Lherzolite issue, 211-227.
  • Obata, M. and Nishimoto, H. (1992) Whole-rock chemistry of the Horoman ultramafic rocks, Hokkaido, Japan. Kumamoto J. Sci. Vol. 13, No. 2, 25-36.
  • Ellis, D. J. and Obata, M. (1992) Migmatite and melt segregation at Cooma, New South Wales. Trans. Roy. Soc. Edinburgh, 2nd Hutton Symp. Proc. (in press).
  • Davies, G. R., Nixon, P. H., Pearson, G. and Obata, M. (1992) Graphitized diamonds from the Ronda peridotite massif, S. Spain. Proc. Kimberlite Conf. (Brazil) (in press)
  • Takazawa, E., Frey, F. A., Shimizu, N., Obata, M. and Bodinier, J. L. (1992) Geochemical evidence for melt migration and reaction in the upper mantle. (Nature, in press).
3. 学会講演発表
  • 渡辺正志、小畑正明、横瀬久芳:唐津高島に産する地殻包有物ーその1地殻包有物に認められる2種類のメルト.地球惑星科学関連合同学会(東京)1991年4月
  • 永川勝久・小畑正明・吉村康隆:肥後変成岩㈵,変成分帯—特に泥質岩中のOPXの出現について.日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
  • 小畑正明・小田原俊一:肥後変成岩㈼,ミグマタイトと優白質花こう岩.同上
  • Obata, M.: Material transfer and local equilibria in a zoned kelyphite from a garnet pyroxenite, Ronda, Spain. Second Field Symposium (Malaga, Spain) 1991年9月
  • Takazawa, E., Frey, F. A., Shimizu, N. and Obata, M.: Trace element abundances in clinopyroxene from the Horoman layered ultramafic complex, Hokkaido, Japan: evidence for fluid migration and reaction in the upper mantle. AGU Spring Meeting (San Franciso), 1991年12月
5.研究助成
  • 総合研究(A)小畑正明(分担者):高温変成岩とミグマタイトの研究(代表者 弘前大学 大貫仁)
  • 日本学術振興会 日米科学協力事業共同研究 小畑正明(代表者)上部マントルにおけるマグマの集積過程の研究—幌満カンラン岩の地球化学
6.所属学会
日本地質学会,日本火山学会,日本岩石鉱物鉱床学会,形の科学会,Mineralogical Society of America, American Geophysical Union
9.海外出張
  • 1991年9月 スペイン(グラナダ,マラガ,ラコルニャ)「第2回エクロジャイトフィールドシンポジウム」に出席のため.
  • 1991年11月24日〜12月15日 米国(ウッヅホール,ボストン,サンフランシスコ)日米共同研究実施とAGU出席のため.

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

小屋口剛博(平成3 年11月1 日付け東京大学地震研究所に転出)

1.研究テーマ
火成岩成因論及び火山物理学:火成岩の多様性をもたらす物理プロセスを記載岩石岩及び流体力学実験手法を用いて研究する.火山の噴煙のダイナミックスなどの火山物理現象についても主に流体力学的手法を用いて研究している.現在は特に対流中での個体粒子の状積作用に焦点をしぼってその理論及び地質現象への応用について研究している.
2.学会誌発表
a. 原著論文
  • Koyaguchi, T.: Enclaves in volcanic rocks from Japan. in Enclaves and granitic petrology, (Eds. Didier and Barbarin) Elsevier, 235-250.
  • Blake, S and Koyaguchi, T.: Insights on the magma mixing model from volcanic rocks. ibid., 403-413.
  • Koyaguchi, T. and Blake, S.:Constraints on the magma mixing model from fluid dynamic experiments. ibid. 415-429.
  • 小屋口剛博、徳野正巳、Listanco, E.:フィリピンピナツボ火山の噴火、1991年6月15日、火山、36、447ー451.
  • 大学合同観測班地質班:雲仙火山1991年噴火、地質観測記録(その1). 火山、37、47-53.
b. 総説著書
  • 小屋口剛博:ピナツボ火山の噴火科学、科学、61、9、561ー563.
  • 小屋口剛博:流体実験による火成作用の素過程の研究と岩石学への応用.月刊地球 (印刷中)
  • 小屋口剛博:火山噴煙のダイナミックス.科学、61、5、324ー332.
3.学会講演発表
  • Koyaguchi, T.: Long-term geochemical evolution of Aso-zoned magma chamber. 20th. IUGG (Wien), 1991年8月
5.研究助成
  • 山田科学振興財団、IUGG出席のための旅費援助
9.海外出張
  • 1991年8月11〜24日 オーストリア、IUGGに出席のため。

●名簿へ ●目次へ  <前年度<

津末昭生 

1.研究テーマ
  1. 花崗岩類と関連金属鉱床:
     花崗岩類には金属鉱床を伴うものと伴わないものがある。金属鉱床は浅所貫入の花崗岩類に伴うことが我々の韓国の金属鉱床と花崗岩類の研究によって解明された。
  2. Sタイプ花崗岩類の成因:
     西南日本外帯の太平洋側にはSタイプの花崗岩類が産出する。特に四国南西部の柏島,沖の島には外帯のSタイプ花崗岩類については、それらの成因を示すデータが蓄積された。
3.学会講演発表
  • 代開秋・津末昭生・谷本 彰:紀伊半島中部の大峯花崗岩類について.日本鉱山地質学会(東京)1991年6月
  • 李仁絃・津末昭生・刈田和博:熊本県宮の原花崗岩類について.日本鉱山地質学会(東京)1991年6月
  • 代 開秋・津末昭生:高知県西南部柏島−沖の島地域の花崗岩類について.三鉱学会秋期連合講演会(仙台)1991年9月
  • 李 仁絃・津末昭生:韓国沃川帯の月岳山花崗岩体について.三鉱学会秋期連合講演会(仙台)1991年9月
5.研究助成
  • 一般研究 (C) 津末昭生(代表者):花崗岩類の微量元素含有量に関する研究
6.所属学会
日本資源地質学会,日本岩石鉱物鉱床学会,日本地質学会,日本地球化学会,Society of Economic Geologists

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

豊原富士夫

1.研究テーマ
サブダクション帯及びその前面における構造運動:
 日本列島の構造帯及びその内部の地質構造は,サブダクション帯そのもので 形作られたという意見が多くみられる.しかしながら,筆者は,日本列島の形成において最も重要な役割を果たした要因は,プレートのサブダクションに伴ってその前面に生じた熱であると考えており,主要な地質構造の形成もサブダクション帯そのものの内部ではなく,その前面の高温区内であると考えている.この主張を裏付けるために,下記のような,サブテーマを設定して研究を 行っている.
  1. 日本列島の形成過程を層序学的,構造地質学的手法を用いて明らかにする.
  2. 過去の造山帯に見られる小地質構造 (e.g.小褶曲,マイロナイト,スレート劈開等の組織)を,顕微鏡,電子顕微鏡等によって観察,記載し,他分野における従来の研究と合わせることによって,その形成時の物理条件,特に温度との関連を明らかにしていく.
  3. 三軸圧縮変形実験によって,温度,封圧,応力等を変えて変形させた試料の 変形組織を,地質時代に変形した岩石の組織と比較することによって,構造運動における物理条件を考察する.
2.学会誌発表
  • 豊原富士夫・矢野健二・土肥直之 (1992) 長崎半島野母崎変ハンレイ岩と結晶片岩の間の衝上断層.熊本大学理学部紀要(地学)第13巻第2号, 49-59.
  • 武田昌尚・豊原富士夫 (1992) 兵庫県北部,関宮超苦鉄質岩体の南縁を限る衝上断層とその意義.同上, 37-48.
3. 学会講演発表
  • 豊原富士夫・松崎達二・村田正文・尾田太良:九州東部四万十帯〜瀬戸川帯における中新世の衝上運動.日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
  • 矢野健二・豊原富士夫・武田昌尚・土肥直之:九州西部・三郡変成岩類上に衝上している変ハンレイ岩.同上, 1991年4月
6.所属学会
日本地質学会,日本地震学会,日本地すべり学会

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

中田正夫 

1.研究テーマ
  1. 固体地球の変形の定量的解析及び地球のレオロジーの研究:
     地球の表面で起こっている種々の地学現象 (火山活動・造山運動 etc)を定量的 に理解するには,各々現象に関係した,リソスフェア,アセノスフェア,マントルのレオロジカルな性質を評価することが大切である.特にリソスフェアやアセノスフェアの流動特性を地質現象から評価することは,造山運動のメカニズムの定量的解析に大切である.現在は,リソスフェア,アセノスフェア内に水平方向の密度不均質 (地質学的に決定される) があった時に地殻表面,内部にどのような変形をもたらすかを定量化している.
  2. 西九州の第4紀の海水準変動の解析:
     熊本平野から五島列島にかけてはテクトニックに相対的に安定である。つまり完新世の海面変動を2次元的にマッピングすることにより、氷河性海水準変動の効果のみを評価することが可能である。又この地域の過去1万年間の古環境及び古潮位を研究することが可能と思われる。
  3. 西九州の重力測定:
     西九州は今リフト系として地球科学的に非常に大切な位置に属している。この地域のテクトニクスを重力測定及びシュミレーションをもとに研究している。
2.学会誌発表
  • Nakada, M., Yonekura,N. and Lambeck, K.( 1991) Late Pleistocene and Holocene sea-level changes in Japan: implications for tectonic histories and mantle rheology, Palaeogeog.Palaeocli.Palaeoec., 85, 107-122.
  • Nakada,M. and Lambeck, K.(1991) Late Pleistocene and Holocene sea-level change; Evidence for lateral mantle viscosity structure?, Glacial Isostasy, Sea Level and Mantle Rheology, pp79-94, (Eds., R. Sabadini, K.Lambeck and E.Boschi), Kluwer academic publishers.
  • Lambeck, K. and Nakada, M. (1991) Sea-level constraints, Nature, 350, 115-116.
  • Lambeck,K. and Nakada, M. (1992) Constraints on the age and duration of the last interglacial period on sea-level variations, Nature, 357, 125-128.
  • Maeda,Y., Nakada,M., Matsumoto,E. and Matsuda,I. (1992) Crustal tilting derived from Holocene sea-level observations along the east coast of Hokkaido in Japan and upper mantle rheology, Geophys.Res.Lett., Vol. 19, 857-860.
  • Nakada,M. and Yokose,H. (1992) Ice age as a trigger of active Quaternary volcanism and tectonism, Tectonophysics (in press).
3.学会講演発表
  • 小泉格他10人:瀬戸内海における海上重力測定.測地学会 (名古屋) 1991年10月
  • 中田正夫:最終間氷期の海面変動の地球物理学的解釈.地震学会(東京)1991年4月
5.研究助成
  • 一般研究 (C) 中田正夫(代表者):島孤域のダイナミックトモグラフィーと地殻・上部マントルのレオロジーの研究
  • 重点領域研究(分担者):文明と環境(代表者 国際文化センター 伊藤俊太郎)
  • 重点領域研究(分担者):地球中心核(代表者 東京大学地震研究所 行武毅)
6.所属学会
日本地震学会
8.海外出張
  • オーストラリア国立大学1991年7-8月 客員研究員

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

村田正文

1.研究テーマ
日本列島の中古生界の地質構造と生層序の解明。
3.学会講演発表
  • 豊原富士夫・松崎達二・村田正文・尾田太良:九州東部四万十—瀬戸川帯における中新世の衝上断層. 日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
6.所属学会
日本地質学会,日本古生物学会
7.学外委嘱委員
県地下水審議会委員, 市上水道水源研究会委員

●名簿へ ●目次へ  <前年度< >次年度>

横瀬久芳 

1.研究テーマ
  1. 島弧の地殻形成機構に関する研究:
     火山活動、造山運動、地震などおおくの地学現象は、島弧において観察されており、陸域を多量に作り出す火成作用(火山活動や深成岩の形成)は島弧または陸弧に限定される。そこで、地殻形成にまつわる諸問題を火成作用という観点から解析を進め、地殻の発展史や発達段階を明かにすることを目的としている。解析にあたっては、岩石学や地球化学(微量元素測定や同位体測定)的手法を駆使している。
  2. 精密分析法の開発:
     多くの分析機器が、近年長足の進歩を遂げてきている。その結果、分析の摘要範囲がかなり低濃度(ppb やナノグラム)まで拡張され、また分析時間も短くなってきた。これらの分析機器を充分活用できたなら、新発見も可能となるであろう。しかしながら、これらの分析機器は、産業界の製品管理などの目的で開発されているため、地球科学的サンプル(多元素が混在する)を直接定量することが出来ない。分析機器の能力を最大限に活用するためには、地球科学的サンプルに前処理(分析器にあった状態)が必要となる。そこで、新たな前処理法(分析法)を開発しより精密なデータを獲得することを目標としている。
3.学会講演発表
  • 渡辺正志、小畑正明、横瀬久芳:唐津高島に産する地殻包有物ーその1地殻包有物に認められる2種類のメルト。地球惑星科学関連合同学会(東京)1991年4月
  • 横瀬久芳:唐津高島に産する地殻包有物ーその1地殻包有物に認められる2種類のメルト。地球惑星科学関連合同学会(東京)1991年4月
5.研究助成
  • 奨励研究(A)横瀬久芳:島弧の下部地殻に関する地球化学的研究
6.所属学会
日本火山学会、日本岩石鉱物鉱床学会、日本地質学会

●名簿へ ●目次へ  >次年度>


II. 大学院生(修士・博士コース) 及び学振特別研究員 

2.学会誌発表
  • 長谷義隆・岩内明子 (1992) 中部九州の湖成層を含む上部新生界の対比—熊本・大分地域—.熊本大学教養部紀要自然科学編第27号69-95.
  • Hase, Y. and Iwauchi, A.(1992) On Cyclocarya paliurus (Batal.) Iljinskaja from the early and middle Pleistocene sediments in Central Kyushu, Japan. 熊本大学教養部紀要自然科学編第27号59-68.
  • Iwauchi, A. and Hase, Y. (1992) Late Cenozoic vegetation and paleoenvironment of northern and central Kyushu, Japan -Part 5 Yoshino area (Middle Pleistocene) 地質学雑誌第98巻3号205-221.
3.学会講演発表(講演者に下線引)
  • 岩内明子・長谷義隆・石坂信也:熊本平野更新統の花粉分析—その3—.日本地質学会西日本支部第124回例会(鹿児島)1992年2月
  • 岩内明子・長谷義隆:大型植物化石と花粉化石を併用した古気温変化の推定—九州の更新統を例にして—.日本古生物学会1992年年会(福岡)1992年1月
  • 長谷義隆・岩内明子・檀原 徹・山下 透:非溶結火砕流堆積物のフィッション・トラック年代と火山ガラスの屈折率.第16回フィッション・トラック研究会(別府)1992年11月
  • 岩内明子・長谷義隆・石坂信也:熊本平野更新統の花粉分析—その2—.日本地質学会西日本支部(佐賀)1992年6月
  • 岩内明子・長谷義隆・石坂信也:熊本平野更新統の花粉分析—その1 Aso 3/4 間堆積物—.日本地質学会第98年大会(松山)1992年4月
  • 長谷義隆・岩内明子:九州の後期新生代植生変化と気候変動.日本地質学会第98年大会(松山)1992年4月   
  • 永川勝久、小畑正明、吉村康隆:肥後変成岩I、変成分帯ー特に泥質岩のOpxの出現について.日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
  • 矢野健二、豊原富士夫、武田昌尚、土肥直之:九州西部、三郡変成岩類上に衝上している変はんれい岩.日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
  • 徐 学東:Benthic Foraminiferal Assemblages of Two Piston Cores Taken From South off The Ishigaki Island.日本古生物学会1992年年会(福岡)1992年1月
  • 代 開秋、津末昭生、谷本 彰:紀伊半島中部の大峯花崗岩類について.日本鉱山地質学会(東京)1991年6月
  • 代 開秋、津末昭生:高知県西南部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類について.三鉱学会秋期連合講演会(仙台)1991年9月
  • 李 仁鉉、津末昭生、苅田和博:熊本県宮の原花崗岩類について.日本鉱山地質学会(東京)1991年6月
  • 李 仁鉉、津末昭生:韓国沃川帯の月岳山花崗岩体について.三鉱学会秋期連合講演会(仙台)1991年9月
  • 赤峰経一郎、尾崎正陽:房総半島中部の岩芯試料OHTAKI-N1にみられる続成作用.日本地質学会西日本支部例会(鹿児島)1992年2月
  • 鳥井真之、大木公彦:底生有孔虫化石群集からみた宮崎層群の堆積環境.日本地質学会第98年大会(松山)1991年4月
  • 山田和宏、岩松 暉:ボアスコープを用いた高圧下における岩石破壊過程の直接観察.地震学会1991年度春季大会(東京)1991年4月
  • 山田和宏、岩松 暉:ボアスコープを用いた高圧下における岩石破壊過程の直接観察(2)マイクロクラック組織について.地震学会1991年度秋季大会(名古屋)1991年10月
5.研究助成
  • 岩内明子:文部省科学研究費補助金日本学術振興会特別研究員( DC)奨励金  中・北部九州後期新生代の植生と古環境
10.その他のニュース
  • 森下律夫:平成4年度日本学術振興会特別研究員 (DC) に決定。
  • 岩内明子:平成4年3月博士号取得(熊本大学地学教室第1号)

●目次へ  <前年度< >次年度>