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第22回物理学ゼミナール(プロジェクトゼミナール)
[日時]  12月3日(水)16時10分より
[場所]  理学部2号館C226教室(2階大講義室)
[講師]  小林 研介 先生(京都大学化学研究所准教授)
[演題]  半導体二次元電子系における人工量子系
[概要]  近年の微細加工技術の進展により、我々は様々な種類の量子デバイスを作製し、量子効果を制御できるようになってきた。とりわけ、AlGaAs/GaAsヘテロ界面に形成される二次元電子系を微細加工した系は、量子輸送現象を観測するには最適の系の一つであり、過去20年にわたって多くの研究が蓄積されてきた。たとえば、二次元電子系を微細加工して作られる量子ドット(人工原子)においては電子の個数やスピンにかかわる多体効果(近藤効果など)を制御することが可能である。また電子干渉計(アハラノフボームリングなど)では、電子の位相やコヒーレンスの制御が可能である。このような研究は、「我々は量子力学をどこまで制御できるか」という根源的な問いに対して答えを与え、物性制御の可能性を拡げる可能性を持っている。
 本講演では、このような固体素子を用いた量子力学制御の研究(メゾスコピック系の物理)について簡単に紹介し、われわれが行ってきた
(1)アハラノフ・ボームリング-量子ドット複合系におけるファノ効果
(2)量子ポイントコンタクトにおける量子ショット雑音
の研究について述べたい。