集中講義案内(2025年度)

これから

期間:2025年12月1日(月)~12月4日 (木) 講師:桑原敏郎氏(筑波大学) 科目名:学部:数理科学特別講義J / 大学院:数学特別講義I 題目:リー代数と多様体:自由場実現入門 場所:黒髪南E5棟3階 数理演習室DC301室

      12月1日(月) 2限,3限
      12月2日(火) 3限,4限
      12月3日(水) 2限,4限
      12月4日(木) 2限
   
授業の目的: 自由場実現をキーワードに単純リー代数やアフィンリー代数の表現論と行列の言葉を使って定義される特定の多様体との間の関係について講義を行う。特に,複雑な代数構造をより単純なものの組み合わせで表す,自由場実現と呼ばれる理論が多様体との関係から具体的に現れることを紹介する。
抽象的な理論はできる限り避け,特殊線形群に関係する場合を中心に線形代数や多変数微積分を用いた具体的な計算を通して,代数と多様体の両方に理解を深めていくことを目的とする。
   
授業の概要: リーマン球面のような初等的な例から出発して,複素射影空間・グラスマン多様体などの行列の言葉を使って具体的に定義されるような多様体の構造がリー代数の代数構造と関係することを具体的な計算を通して議論する。
後半ではアフィンリー代数という無限次元のリー代数の自由場実現が単純リー代数と多様体の間の関係の無限次元類似として理解されることを,具体的な例を中心に概説する。
線形代数や多変数の微積分を前提知識として仮定するが,リー代数や多様体に関する予備知識は前提としない。

これまで

期間:2025年10月27日(月)~10月30日 (木) 講師:奥田隆幸氏(広島大学) 科目名:学部:数理科学特別講義H / 大学院:数学特別講義G 題目:幾何学的符号理論入門 場所:黒髪南 自然科学研究科棟 3 階 301 数理演習室 (DC 301)

      10月27日 (月) 3,4限
         28日 (火) 3,4限
         29日 (水) 3,4限
         30日 (木) 3,4限
                 
   
授業の概要: 幾何学的符号理論の概念の説明を行い, 特に球面上の符号理論を題材として Delsarte による符号濃度の上限を与えるフーリエ解析的アプローチを紹介する.

  1.幾何学的符号理論
  2.幾何学的符号理論の具体例
  3.誤り訂正符号
  4.Delsarte 理論
  5.E8 符号について
  6.球面上の調和解析
  7.球関数の計算
  8.8 次元接吻数

期間:2025年11月10日(月)~11月13日 (木) 講師:関根順氏(大阪大学) 科目名:学部:数理科学特別講義I / 大学院:数学特別講義H 題目:後退確率差分方程式入門 場所:黒髪南 自然科学研究科棟 3 階 301 数理演習室 (DC 301)

      11月10日 (月) 3,4限
         11日 (火) 3,4限
         12日 (水) 2,4限
         13日 (木) 3,4限
                 
   
授業の概要: 格子上のランダムウォークで駆動される後退確率差分方程式(Backward Stochastic Difference Equation: しばしばBSΔEと略記)の解説を行う。 これは終端値を与えて解く確率差分方程式であり、条件付き期待値の一般化(非線形化)とも解釈される。 金融・ファイナンス分野や確率制御の分野での応用も多く、確率過程に関する有用で便利なツールである。 本講義では、 初等的で具体的な解析が可能な、格子上を動くランダムウォークで駆動されるBSΔEに焦点を当てた解説を行う。 以下の項目の中からトピックを選んで解説を行う予定である。

  1.初等確率論からの準備
  2.幾何ランダムウォークモデルを用いた数理ファイナンス
  3.BSΔE (I):設定・解の構成
  4.BSΔE (II):線形BSΔE、マルコフ型BSΔE、比較定理
  5.数理ファイナンスにおけるBSΔEの応用
  6.指数効用最大化
  7.動的リスク尺度
  8.再帰的効用