purescience

第14号 2019年12月

巻頭言

理学部長 市川 聡夫
理学部長 市川 聡夫

「Pure Science」第14号をお届けいたします。熊本大学理学部の教員がそれぞれの分野の研究について、高校生や大学初年次の理系学生向けに分かり易く説明し、研究の醍醐味や面白さを紹介しています。皆さんが「Pure Science」を通して、理学研究に興味や関心を持って頂ければ幸いです。
 第14号には5つのコースの先生による文章が掲載されています。まずは興味のある分野の先生の「力作」をお読みください。数学コースの北別府先生は日常的にも使っている「距離」が現在でも活発に研究されている「埋め込み問題」につながることを、物理学コースの赤井先生は「機械学習」を技術や知恵と融合させた「データ駆動科学」が次の世代を切り開いていくことを、化学コースの上田先生は「多様性」が生み出す新しい固体有機物質の開発について、地球環境科学コースの一柳先生は水の起源を探る降水同位体比データベース観測について、生物学コースの髙宗先生は卵割の際の遺伝情報の転写・翻訳における不思議について説明されています。
 高校生向けに分かりやすく、しかし最先端の研究の醍醐味がわかるようにと苦労して作成された内容になっています。一回読んだだけでは、頭に入ってこない部分があるかもしれませんが、何度も読み返すうちに、先生方がどの辺が面白いと感じているのか、気づいて頂けると思います。
 「Pure Science」を通して、其々の研究分野の特徴や、先生方のキャラクターや研究に対する情熱を感じとって頂ければと思います。多角的な視点を持ち、新しい研究分野を想像する、次世代を担う理学研究者が誕生することを期待します。