チタニアナノシートのプロトン透過性
近年、二次元ナノ材料は、原子・分子を遮断しつつプロトン (H+) のみを選択的に透過させる新たなプロトン伝導材料として注目されています。
中でも TiO2 ナノシートは、水中や酸化・還元環境、さらには高温条件下においても安定であり、実験的にも高いプロトン透過性を示すことが報告されています。この高い透過性は、材料中に存在する Ti 欠陥に起因すると考えられており、燃料電池などの水素関連技術への応用が期待されています。
一方で、プロトンが透過する際のミクロな機構や、欠陥構造が透過特性に与える影響については、いまだ十分に解明されていません。これらを明らかにすることは、透過性能の向上および実用化に向けて重要です。
本研究では、第一原理計算に基づき、プロトンの透過経路およびそれに対応するエネルギープロファイルの解明を目的として、Nudged Elastic Band(NEB)法を用いたシミュレーションを行いました。計算対象として、
欠陥のないモデルに加え、3種類の Ti 欠陥構造モデルを用い、比較検討を行いました。その結果、プロトンは欠陥構造モデルの違いにかかわらず、ナノシート中の酸素原子との結合・解離を繰り返しながら透過することが明らかになりました。
欠陥のあるチタニアナノシートにプロトンが透過する様子

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上の図で、赤い球は酸素原子を、桃色の球はチタン原子を示す。白い球はプロトン。
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