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松田助教授が統合国際深海掘削計画に参加


理学部地球変遷学講座 松田博貴助教授は統合国際深海掘削計画(IODP)に参加し, 過去2万年間の海洋環境の変動を探る目的でタヒチ島沖の珊瑚礁を掘削する。
地球の環境変動 解明へ
熊本日日新聞記事 平成17年9月24日
研究の概要
1.テーマ
タヒチ島のサンゴ礁掘削試料に基づく南太平洋の過去2万年間の海洋環境の復元
2.概要
本研究航海は、深海掘削計画史上初のサンゴ礁掘削を目的とするものであり、深海掘削計画のみならず炭酸塩堆積学・地球化学研究の歴史における、記念碑的なイベントになると期待される。 本研究航海の主目的は、以下の3点である。
(1)現在から1?2万年前までの海水準変化を高精度で復元し、最終氷期最盛期における海水準、融氷パルス*の時期・規模及びサンゴ礁に対する影響を明確にすること。
(2)最終氷期最盛期以降の海水準上昇期における表面海水温を復元し、海水準の上昇がサンゴ礁に与える影響を明らかにすること。
(3) エルニーニョ等の短期の気候変動の規模及び頻度を明らかにすること。
従来の主なサンゴ礁堆積物を用いた最終氷期最盛期以降の海水準変動の研究は、バルバドス等のプレート境界付近の海域において行われてきたため、復元された海水準変動は、地殻変動の影響を受けている可能性が指摘されてきた。 本研究航海は、地殻変動の影響を受けない海洋島の周囲に発達するサンゴ礁において多くの掘削を行い、最終氷期最盛期以降の堆積物を得ることを特色とする。
本研究航海で得られる掘削試料の検討により、従来に比べ遥かに高い精度で海水準変動が描き出され、融氷パルスの時期及び規模が明確になり、氷床の消長の歴史が明らかになると期待される。 また、掘削試料中のサンゴ化石の分析により、表面海水温や塩分を分析できるほか、最終氷期最盛期以降の堆積物がほぼ連続的に得られるので、過去2万年間の南太平洋の海洋環境変動を復元し、エルニーニョ等の短期の気候変動の規模等を明らかにできる可能性がある。 これらの検討により、海水準の上昇等がサンゴ礁生態系に与える影響についても明らかにできる可能性がある。

統合国際深海掘削計画 [pdf ファイル 411kB]