教育プログラム



地球環境科学コース




研究の紹介



気候変動の研究
近年、地球温暖化、都市化などにより我々を取り巻く大気環境が劇的に変化しつつあるのではないか、との懸念が広がっています。 これらの問題に答えるべく研究をすすめています。 特に西太平洋の大気海洋相互作用の影響が長期的に梅雨前線の活動など、 日本を含む東アジアの気候変動にどのように現れているかを調べています。

阿蘇火口における火山ガス調査

大気環境学
大気中に漂っている、目には見えないほどの微小粒子(エアロゾル粒子)は、 小さいながらに、太陽光を散乱させたり雲をつくったりして地域的、全地球的な気候を左右します。 また、酸性雨や公害病など大気汚染の問題とも深く関わっています。 私たちの研究室では、電子顕微鏡をはじめとする微粒子分析技術を用いて大気エアロゾルの性質を調べ、 そのような粒子がどのようにして発生し、周囲の環境にどう影響を与えるのかを明らかにしようとしています。

Ca膜上に捕集された、硫酸で覆われた黄砂粒子(矢印)の電子顕微鏡写真

火成作用に伴なう地殻の発達過程
 野外で火山や花崗岩体を調査し、様々な機器を用いて岩石の化学分析を行います。 これによってマグマの発生から分化と噴火の過程やそれらの特性が明らかになります。

阿蘇調査で観察された柱状節理を示す火山岩(写真左)と偏光顕微鏡によるその薄片写真(写真右)。

地球における反応と物質移動のメカニズム
 我々が暮らす大地は、地球誕生以来、絶え間なく続く地球の進化・変動の結果もたらされました。 地球では人間の日常を超えた時間の中で、様々な現象が起こり、今も起こっています。 しかし、我々は全ての現象を完全には理解していません。 私達は、野外観察、試料分析、高温・高圧実験などを通じて、地殻やマントル、 さらには惑星を構成する物質の性質や組成、その形成過程について研究を行っています。

高温・高圧熱水の流れによる,岩石・鉱物の変化と物質の移動過程を再現するための実験装置。

地球惑星の進化過程における磁気現象
 地球が磁場を持っていることを利用して、地球の歴史や地殻変動、陸隗の移動などの研究を行っています。 また、現在日本が中心となって計画中の月探査衛星や、水星探査惑星を利用した惑星磁場の研究チームに参加しています。

月探査衛星 SELENE (ⓒJAXA) 

同位体水文学
 地球上の水循環に係わるプロセスを物理的・化学的に究明する観点から研究を行っています。 水に溶存する各種イオンの放射性・安定同位体などを測定し利用することで目に見えない降水・河川水・地下水や土壌水の水循環プロセスを把握します。

安定同位体比測定用質量分析システムを用いてわずかな質量の違いを計る。

有明海・八代海の環境変遷
 有明海・八代海の沿岸で生活している人々の営みが、環境にどのような影響を及ぼしてきたのでしょうか? 海洋環境の改善を考えるためには、近世以降の環境変化のメカニズムを解明することが必要です。 そこで、私たちは、現生生物や化石、堆積物に記録されている近過去から現在の環境変遷を調べています。

有明海における表層堆積物試料の採取風景。堆積物中には様々な微量元素や生物が含まれる。

生物起源堆積物から読み取る地球環境変動
 サンゴなどを含む生物起源堆積物を調べると、かつて生物が生息していた時代の環境を復元することが可能です。 また堆積物の時代的変化や分布を調べることにより、 地球表層の環境変動を解明でき、さらには地球温暖化などの未来予測にも役立ちます(p. 17写真参照)。

生物進化と地球史・古環境の解析
 地層中から発見される様々な化石から、すでに絶滅した生物の形態や生活の様子と、 それらが生きていた当時の環境を復元し、生物の進化や地球環境の変遷を明らかにします。

上天草市から産出した
白亜紀のアンモナイト化石